令和6年度 ZEH情報 トピックス
戸建・調査発表会・データ分析
令和5年度ZEH補助事業 交付決定関連情報〈戸建住宅編〉
2024年08月15日
SIIでは昨年12月に「ネット・ゼロ・エネルギーハウス実証事業調査発表会2023」として、令和5年度ZEH補助事業の2023年10月末時点のZEH補助事業の分析結果を発表しています。
この度、令和5年度(2023年4月~2024年3月まで)の実績値の集計・分析を行いました。
今回は戸建住宅に関する交付決定関連情報について取り上げます。
交付決定件数について
令和5年度の戸建向けZEH補助事業は、環境省による「ZEH支援事業(ZEH)」「ZEH支援事業(ZEH+)」、
経済産業省による「次世代ZEH+実証事業」「次世代HEMS実証事業」の4つの事業の公募を行いました。
上記4事業の令和5年度の交付決定の総数は、11月以降に712件増加し、合計8,059件に達し、前年度比125.7%となりました。
次に令和3年度から令和5年度のZEH補助事業における、ZEHとZEH+の構成比の推移を確認します。
ZEH+の比率が年々高くなっており、令和5年度には87.3%を占めるに至っています。
ZEH+の比率が高まっている主な要因として、以下の2点が考えられます。
- 1)
住宅メーカーを中心とする断熱仕様の強化によって、ZEH+の要件①「外皮性能の更なる強化」を満たす住まいが増えてきたこと。
- 2)
ZEH以外の補助金の多様化によって、ZEH補助事業の中でも高額帯であるZEH+への移行が促進されたこと。
また都道府県別に見ると、愛知県を筆頭に中部・東海圏での交付決定件数の多さが目立っています。
この傾向は令和4年度と同様であると言えます。
ZEH+選択要件について
続いて交付決定数の多くを占めたZEH+について、選択要件の採用状況について確認します。
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ZEH+の選択要件は、以下の3つの中から「2つ以上」の選択を求めています。
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①外皮性能の更なる強化
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②高度エネルギーマネジメント
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③電気自動車を活用した自家消費の拡大措置のための充電設備又は充放電設備
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詳しくは「令和6年度のZEH補助金について」をご覧下さい。
ZEH+の選択要件の組合せとしては、①+③が74.7%と全体の約3/4を占めています。
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①「外皮性能~」については、建物そのものの断熱性能の向上で、基準値を上回るケースが増えていること
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③「電気自動車~(EVコンセント)」については、将来的な電気自動車の普及が見込まれること
などの理由から、①と③の組合せがより多く選択されたと考えられます。
蓄電池の導入状況について
蓄電池の導入件数は、前年度比130.9%の伸び率を示しました。これはZEH交付決定件数の伸び率125.7%を上回っており、蓄電池の導入比率が高まってきていると言えます。
高まりの要因としては、昨今の電気料金の上昇により、売電よりも自家消費を優先させたいと考える方が増えていることが考えられます。
UA値とエネルギー削減率について
令和5年度のZEH補助事業のうち単年度事業を対象として、BELS評価書を分析したUA値の分布を省エネ地域別に示します。
ZEH支援事業を含むものの、どの地域区分においても、ZEH+基準のUA値を上回る性能を担保している物件が多く見られます。特に省エネ地域区分「4-7地域」においては76.5%(5,650件)がZEH+基準のUA値を上回っています。
更に等級6基準を満たすものも47.6%含まれています。
また、令和5年度のZEH補助事業におけるBELS評価書の分析による、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率分布は以下の通りです。
UA値と同様に、 ZEH+の基準値(25%以上削減)を上回る削減率を取得している物件が96.7%(7,395件)と非常に高い割合を占めていることがわかります。
> 参考データ:R5年度戸建ZEH補助事業の交付決定状況