ZEH情報 トピックス

戸建・調査発表会・データ分析
令和6年度ZEH補助事業 交付決定関連情報〈戸建住宅編〉
2025年07月29日
SIIでは昨年12月に「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業調査発表会2024」として、令和6年度ZEH補助事業の2024年10月末時点のZEH補助事業の分析結果及びサマリ記事を公開しています。
この度、戸建住宅に関する令和6年度(2024年4月~2025年3月まで)の実績値の集計・分析を行った交付決定関連情報について取り上げます。
交付決定件数について
令和6年度の戸建向けZEH補助事業は、環境省によるZEH支援事業について公募を行いました。
上記事業の令和6年度の交付決定の総数は合計5,690件となりました。内訳はZEHが548件、ZEH+が5,142件とZEH+が大半を占め、その中でも断熱等性能等級6相当以上かつ一次エネルギー消費量削減率30%以上を満たすハイグレード仕様の割合は過半数の56.4%となっています。
この水準は、令和7年度(2025年4月)から適用となったZEH+の定義改訂に伴う断熱性能の強化、省エネルギー性能の深掘りを事実上先取りするものです。ハイグレード仕様の割合の高さは、住宅の高性能化が市場でも浸透しつつある状況が反映されていることを示し、今後はより高度な省エネ・断熱仕様が標準化していくことが想定されます。
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ZEH+ハイグレード仕様については、こちらをご覧ください。

断熱性能(UA値)及び一次エネルギー消費量削減率の分布
令和6年度のZEH補助事業を対象として、BELS評価書に基づき省エネ地域別にUA値の分布を分析したところ、各グラフともUA値の平均は断熱等性能等級6の基準を満たし、UA値のボリュームゾーンも推移していることから断熱等性能等級6相当以上を有するZEHの割合が前年度に比べて大きく増加していることがわかりました。
また、一次エネルギー消費量削減率も同様に分析してみると一次エネルギー消費量削減率が30%以上の領域に分布する補助事業が多く見られました。ZEH+の拡大に伴い、住宅の高断熱化・高効率化が進んでいる傾向がうかがえます。一次エネルギー消費量削減率が35%以上である補助事業も多くあり、外皮性能と設備性能の両面において更なる高い水準を目指すZEHが増加していることが見られます。



ZEH+の選択要件
ZEH+の選択要件では、「❶外皮性能の更なる強化」及び「❸電気自動車を活用した自家消費の拡大措置のための充電設備又は充放電設備」の選択割合が依然として高くなっており、全体の9割近くを占める結果となりました。その中でも令和6年度はハイグレード仕様での補助額加算の要件である❶+❷+❸を選択する事業者が大きく増加しました。
2025年4月からのZEH+定義改訂において、選択要件は断熱等性能等級6以上の必須化と、自家消費拡大に資する対象設備・機器の拡大がされました。令和6年度の補助事業においても、こうした流れを先取りするような傾向が高まっていたことがうかがえます。
ZEH+の選択要件の組み合わせとハイグレード仕様
ZEH+ の選択要件 |
ハイグレード仕様選択あり |
ハイグレード仕様選択なし |
合計 |
構成比 |
令和5年度構成比 |
---|---|---|---|---|---|
❶+❸ |
1,712 |
1,382 |
3,094 |
60.2% |
78.1% |
❷+❸ |
1 |
484 |
485 |
9.4% |
19.7% |
❶+❷ |
54 |
63 |
117 |
2.3% |
2.1% |
❶+❷+❸ |
1,441 |
5 |
1,446 |
28.1% |
0.1% |
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❶
外皮性能の更なる強化
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❷
高度エネルギーマネジメント
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❸
電気自動車を活用した自家消費の拡大措置のための充電設備
又は充放電設備

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ZEH+の定義改訂について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
蓄電システムの導入状況について
ZEH住宅における蓄電システムの導入率は上昇傾向にあり、令和6年度においては導入率が過去最高となりました。
電気料金の高騰や買い取り価格の下落により、売電よりも自家消費を優先する方が増えていることが考えられます。
ZEH+の定義改訂により、蓄電システムの導入も選択要件の一つとなりました※。蓄電システムの活用は、再生可能エネルギーの自家消費率を高めるだけでなく、災害時のレジリエンス強化にも寄与しており、防災意識の高まりからも、今後も導入が加速するものと見込まれます。
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初期実効容量5kWh以上が対象

まとめ
令和6年度ZEH補助事業の交付決定状況を踏まえると、ZEH住宅の高性能化が着実に進んでいることがわかります。特にZEH+においては、2025年4月からのZEH+の定義改訂に対応すべく断熱性能・設備仕様の向上や普及拡大が顕著にみられたと考えられます。
今後もZEHの補助事業を通じ、住宅の省エネ化の深掘りと再エネ利用による自家消費の拡大について、一層促進されることが期待されます。
以下「R6年度戸建ZEH補助事業の交付決定状況」より、本記事掲載以外の統計についても確認いただけます。