ZEH情報 トピックス

ZEHビルダー/プランナー・データ分析

令和6年度ZEHビルダー/プランナー実績報告 
自社目標達成状況とZEH化率について

2025年11月21日

SIIでは、過年度に登録済みのZEHビルダー/プランナーを対象に令和6年度実績報告を受付しました。
本記事では、ZEHビルダー/プランナーの実績報告データに加え、ZEH普及の取組に関するアンケート結果を基に、ZEH化率の向上に向けた実情と課題を分析します。

  • 建築実績のうち、『ZEH』(『ZEH+』を含む)とNearly ZEH(Nearly ZEH+を含む)、ZEH Orientedが占める割合

2024年度自社目標に見る達成率

ZEHビルダー/プランナーは、2025年度のZEH普及目標を設定しています。
目標の設定に際して、2020年度のZEH建築実績を基に下記の要件が設けられています。

  • 『ZEH』(『ZEH+』を含む)、Nearly ZEH(Nearly ZEH+を含む)及びZEH Oriented

  • ZEH建築実績が50%以上のZEHビルダー/プランナー…2025年度のZEH普及目標を75%以上で設定

  • ZEH建築実績が50%未満のZEHビルダー/プランナー…2025年度のZEH普及目標を50%以上で設定

今回の実績報告は、2024年度の建築実績が対象となっています。2025年度目標の達成に向けて、その前年の目標値と達成状況を分析しました。

  • 2025年8月末時点の回答数4,233件のうち、「2024年度自社目標を達成かつZEH建築実績が0件」と回答したZEHビルダー/プランナーを除く4,120件を集計

1)

2024年度自社目標に対する達成状況
まずは2024年度の自社目標に対する達成状況を見ていきます。
全体としては約36%のZEHビルダー/プランナーがZEH普及における2024年度の自社目標を達成しています。

2)

目標毎の達成状況の比較
次のグラフは、2024年度のZEH普及目標の分布と、ZEH普及目標別の達成率を示しています。

2024年度自社目標の達成要因

アンケートでは、2024年度自社目標を「達成した」と回答したZEHビルダー/プランナーに対し、社内体制と顧客対策に関する取組状況について伺いました。その上で、ZEH化率による取組状況の違いを確認するため、ZEH化率で区分して分析しました。

  • 複数回答有り

「社内体制」に関してはZEH化率による差異は見られませんでしたが、「顧客対策」においてはZEH化率が高いZEHビルダー/プランナーほど、顧客対策を積極的に講じていることが読み取れます。住宅における省エネ性能の可視化、説明や見学等によるZEHのメリットを顧客に訴求することが、ZEH化率に影響を与えていることが示唆されています。

ZEH化にかかる「コスト」・「体制」について

2025年4月から施行された省エネ基準適合義務化により、事業者は住宅の省エネ性能向上に向けた対策が求められています。そうした背景を踏まえ、ZEH化にかかるコストやデータの作成にあたって必要な社内体制について尋ねました。

1)

基準適合住宅とZEH化のコスト差
基準適合住宅とZEH住宅でのコスト差※1についての現状を伺いました。
「等級5以上を標準としているため差はない」「コスト差50万円未満」「コスト差50万円~100万円未満」のいずれかに該当するか、ZEHビルダー/プランナーの割合をZEH化率ごとに区分して示しています。※2

  •  ※1

    太陽光発電は除く

  •  ※2

    コスト差100万円以上の回答は除く

ZEH化率が高いZEHビルダー/プランナーほど断熱等性能等級5以上を標準としており、逆にZEH化率が低いほどコスト差を課題として認識している傾向が読み取れます。

2)

外皮性能・エネルギー消費量の算出データの作成方法
外皮性能・エネルギー消費量の算出データ作成方法における体制について、内製化又は外部事業者に依頼しているかを伺いました。

社内の人員で作成しているZEHビルダー/プランナーが半数以上を占め、コスト差とは異なり、体制についてはZEH化率による顕著な違いは見られませんでした。

ZEH化に役立つ情報のご紹介

2025年度のZEH普及目標達成に向け活動しているZEHビルダー/プランナーの2024年度目標の達成状況やZEH化率、その傾向を分析してきました。ZEH化率が25%未満のZEHビルダー/プランナーにおいては、顧客対策や仕様、コスト差について課題がある可能性が透けて見えてきました。

ZEHについては、更に省エネ性能の深掘り、再生可能エネルギーの活用を目指して、2027年度からGX ZEHシリーズが運用されることが、2025年9月に経済産業省より公表されました。
(参考:https://www.meti.go.jp/press/2025/09/20250926002/20250926002.html

ZEH化の促進のためにはZEH仕様の標準化等の取組が必要ですが、計算等ZEH化のハードルが高いと感じているZEHビルダー/プランナーの方々はまだ多いと推察されます。そこで、ZEH仕様の検討にお役立ていただける情報をご案内します。

1)

断熱性能向上に対する対応状況
下図は2022年度の調査発表会に掲載している「前年度ZEH実績のないZEHビルダー/プランナーの実情に関するアンケート調査報告」において「各事業者様の一般的な断熱仕様」を調査した結果です。
これらのグラフからZEH実績のないZEHビルダー/プランナーであっても多くの部位で既にZEH相当の断熱を行っている、あるいは少しの強化でZEH相当になることが読み取れます。
一度自社の仕様を改めて計算することで、ZEH化を推し進めるためのあと一歩が間近に見えてくるのではないでしょうか。(過年度の調査発表会データ・資料はこちら

2)

事例検索ツール
SIIでは、過去の補助事業で採択された豊富なZEH事例を検索できる「事例検索ツール」を提供しています。
2025年10月に約1,200件の事例を追加し、掲載事例数は現在2,800件以上に上ります。都道府県や省エネ性能、断熱・設備仕様などで詳細に絞り込み検索が可能です。自社の対応エリアの事例を検索し、自社標準仕様と比較・分析することで、効率的な性能改善にお役立ていただけます。

<事例検索の画面イメージ>