ZEH情報 トピックス
戸建・集合・調査発表会・データ分析
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業 調査発表会2025について
2025年12月22日
SIIでは、戸建ZEH、集合ZEH-Mに関する補助事業をはじめとした事業推移や申請状況に加え、ZEHのエネルギー使用状況に関する調査・分析を行っています。この度、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業 調査発表会 2025」として、今年度の調査結果を公表しました。
今回は、その内容を一部紹介します。
【ZEHビルダー/プランナー実績報告】新築戸建住宅のZEH化率が30.5%に上昇
ZEHの普及に取り組むZEHビルダー/プランナーの実績報告によると、2024年度の新築戸建住宅におけるZEHシリーズ供給戸数は104,886戸となり、着工統計にみるZEH化率は30.5%となりました(10月末時点)。注文戸建住宅においてはZEH化率が前年より2.3ポイント上昇の42.6%、建売戸建住宅においてはZEH化率は8.6%となりました。
また、ZEHビルダー/プランナー実績報告で報告された建築総数の内訳で見ていくと、ZEH化率は52.0%となり、前年の45.5%から6.5ポイント上昇し、50%台まで推移しました。
なお、ZEHビルダー/プランナーの登録数は、2025年度に新規登録127社を加え、累計6,108社となっています。
<調査発表会資料掲載箇所>
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2-3.
R6年度ZEHビルダー/プランナー(フェーズ2)実績報告の分析(P50~)
【戸建ZEH:R7年度交付決定事業】蓄電池容量の平均値は過去最大
SIIで実施する環境省による戸建ZEH補助事業において、令和7年度は2,054件の交付決定を行いました(10月末時点)。令和7年度からZEH+の定義が変更になりましたが、ZEH+は全体の8割を超えています。新しい定義での選択要件についてはほとんどが「❶再生可能エネルギーの自家消費の拡大措置」を導入しており、「❷高度エネルギーマネジメント」については半数ほどとなっています。
※ZEH+定義改訂については、こちらをご覧ください。
追加設備として導入している蓄電システムの蓄電容量の平均値は9.3kWhと過去最大となりました。前年に引き続き、エネルギー価格の高騰や売電価格(電力買取価格)の下落を受け、太陽光発電システムで創った電気を自家消費するニーズが高まっていることから、より容量の大きい蓄電システムを導入する傾向が見てとれます。
<調査発表会資料掲載箇所>
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3-2.
R7年度 交付決定事業の傾向分析 ーZEH支援事業ー(P70~)
【R6年度事業ーBELS分析ー】性能値の向上が顕著に
令和6年度の事業について、交付確定を受けた5,288件を対象にBELSの分析を行いました。ZEH・ZEH+(ハイグレード無)・ZEH+(ハイグレード有※)の区分で分析を行ったところ、再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率の平均値は、各要件で定めている削減率を大きく上回っていることがわかりました。
ZEHでも平均値は28.3%となっていることから、ZEH性能の標準的な仕様が向上してきていることが読み取れます。
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※
断熱等性能等級6以上の外皮性能を有し、かつ設計一次エネルギー消費量(再生可能エネルギー等を除く)が基準一次エネルギー消費量から30%以上削減した住宅
また、「ハイグレード有」の3,048件(8地域除く)の外皮性能に着目すると、既に断熱等性能等級7相当を達成している事業が各地域で一定数を占めており、経済産業省が2025年9月に公表した「GX-ZEH」を先取るような性能値の高いZEHも既に普及している現状です。
<調査発表会資料掲載箇所>
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3-3.
R6年度事業のBELS評価書、一次エネルギー消費量計算結果(住宅版)を基にした集計の分析(P77~)
【アンケート調査による実績報告分析】65.2%が実績値でもZEH達成
ZEHは基準値に対する設計値での評価となるため、実際にネット・ゼロ・エネルギーを達成できるかは住まい方やエネルギーの使用状況によって変わってきます。
そこで、ZEH入居者(対象:平成30年度~令和5年度事業)のアンケートに基づく一次エネルギー消費量と創エネルギー量においてZEHの達成状況を分析すると、実績値でも65.2%がZEHを達成していました。
また、ZEHに居住した実感として「ZEHを薦めたいと思う」とした回答は91.5%と高い割合となりました。ZEHの推奨ポイントとしては「光熱費の安さ」が最も高く、光熱費が高騰している中、実生活においてZEHのメリットを感じられていることがわかります。
<調査発表会資料掲載箇所>
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3-4.
戸建ZEH事業者アンケート調査による実績報告分析(P92~)
【集合ZEH-M:R7年度交付決定事業】交付申請件数と交付決定件数(新規採択)の推移
集合住宅のZEH化に取り組むZEHデベロッパー登録社数は、令和6年度末時点で255社あり、令和7年度11月7日公表時点で12社増え、計267社となりました。
また、SIIで実施する環境省による集合ZEH-M補助事業において交付決定を行ったのは、令和7年度4月以降に交付決定したR6年度低層ZEH-M追加公募61件を含め、低層ZEH-M134件、中層ZEH-M4件、高層ZEH-M8件の計207件でした。(10月末時点)
住棟を構成する全住戸のうち、最も大きいUA値が断熱等性能等級6以上を満たす事業は2地域では低層ZEH-Mで1件、5・6・7地域では低層ZEH-Mで86件、中層ZEH-Mで3件の全体で90件あり、前年の43.0%から6.5ポイント上昇し、49.5%でした。
さらに、「GX ZEH-M」の要件の一部となる断熱等性能等級6以上及び再生可能エネルギー等を除く設計一次エネルギー消費量削減率35%以上を満たす計画もあり、GX ZEH-Mに向けて建物の高性能化が進んでいることが分かります。
住宅における省エネルギー政策や動向、事業者の事例紹介も
ZEH・ZEH-Mは2027年4月より、新たに「GX ZEH」・「GX ZEH-M」の定義が適用され、大きな転換期を迎えます。
調査発表会資料においては、巻頭に主催者挨拶及び趣旨説明として、経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課による「2050年のカーボンニュートラルに向けた住宅における省エネルギー政策について」と題した政府の取り組みとZEHを取り巻く状況と政策の今後の方向性が紹介され、「GX ZEH」・「GX ZEH-M」についてもその内容が示されています。
その他、特別講演として、事業者によるZEH、ZEH-Mの先進的な取組事例も紹介されています。
<調査発表会資料掲載箇所>
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1-1.
主催者挨拶及び趣旨説明(P5~)
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5-1.
令和5年度次世代HEMS実証事業におけるAiSEGによるエネルギー制御と今後の展開(P209~)
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5-2.
入居者売電方式でZEH-Mを推進する積水ハウスのシャーメゾンZEH(P221~)
ぜひ、「調査発表会2025」の掲載資料をご覧いただき、今後のZEHビジョンを見据えた普及促進活動にお役立てください。