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ZEH+定義改訂について

2025年05月29日

2024年5月、経済産業省資源エネルギー庁がZEH+の定義見直しを公表し、改訂は2025年度から適用予定とされていました。2025年度となり新しい定義がスタートするにあたり、定義の変更箇所をまとめた「ZEH+の定義変更・令和7年度以降の定義一覧表について」が2025年4月に公表されました。

今回は、上記資料内に記載されたZEH+の定義改訂についてご説明します。

ZEH+定義改訂の経緯

ZEH+は、ZEHの省エネ性能を更に深掘りするとともに、設備の効率的な運用等による自家消費拡大を目指すZEH※1として、2018年5月に定義が公表されました。

その後、政府目標として掲げられた2050年カーボンニュートラルの実現に向け、住宅性能表示制度における断熱等性能等級の上位等級の新設※2や、建築物省エネ法改正により2025年4月から施行された省エネ基準適合義務化※3など、住宅の省エネ性能向上に向けた動きが加速しています。実際に、近年のZEH支援事業においてもZEH+の申請が増えており、ZEH+への注目と性能の向上が見られます。

ZEH+の定義改訂に先立ち、令和6年度ZEH支援事業では、断熱等性能等級6相当以上の外皮性能かつ再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率30%以上を満たすZEH+を「ハイグレード仕様」として公募を行いました※4。その結果、ZEH+ハイグレード仕様が交付決定数の過半数を占めました。

上記のような住宅の省エネ性能向上という傾向に加え、再生可能エネルギーの自家消費を促進できる設備も増加していることから、ZEH+の定義についても対応が求められるようになってきました。
こうした背景から、外部有識者等により構成される「ZEHフォローアップ委員会」において、2025年度よりZEH+の定義が改定されることになりました。

詳しく知りたい方はこちら

改訂後のZEH+定義

改訂後のZEH+の定義について、ポイントは以下のとおりです。

<改訂後のZEH+定義のポイント>

point1

一次エネルギー消費量削減率(再生可能エネルギー除く)

30%以上

point2

外皮性能

断熱等性能等級6以上

point3

選択要件

自家消費を拡大する
設備・機器の設置

  • 1.

    一次エネルギー消費量削減率
    ZEH支援事業におけるハイグレード仕様の申請シェアからも推測されるように、住宅の省エネ性能が向上している実態に伴い、基準一次エネルギー消費量削減率が25%以上から30%以上となり、より高い削減率が求められます。

  • 2.

    外皮性能
    住宅の断熱に関する社会的関心の高まりや断熱仕様の強化が進んでいる背景を踏まえ、断熱性能はZEH相当である「ZEH強化外皮基準」から「断熱等性能等級6以上」の外皮性能に変更され、必須条件となります。

<改定前の外皮性能  ZEH強化外皮基準>

地域区分

1

2

3

4

5

6

7

8

外皮平均熱貫流率
(UA値)

0.40以下

0.50以下

0.60以下

-

冷房期の平均日射熱
取得率(ηAC値)

基準値なし

3.0以下

2.8以下

2.7以下

6.7以下

<改定後の外皮性能  断熱等性能等級6以上>

地域区分

1

2

3

4

5

6

7

8

外皮平均熱貫流率
(UA値)

0.28以下

0.34以下

0.46以下

-

冷房期の平均日射熱
取得率(ηAC値)

基準値なし

3.0以下

2.8以下

2.7以下

5.1以下

比較した時の変更箇所は赤字

  • 3.

    選択要件
    電気自動車の充電設備以外にも、再生可能エネルギーの自家消費拡大を後押しする設備が多数登場している現状を踏まえ、選択要件が見直されました。
    2要素のうち、少なくとも1つ以上を満たす必要があります。

<改訂前>

❶外皮性能の更なる強化

❷高度エネルギーマネジメント

❸電気自動車を活用した自家消費の拡大措置

<改訂後>

「断熱等性能等級6以上の外皮性能」として必須化

選択要件として継続

再生可能エネルギーの自家消費の拡大に資する 設備・機器を新たに対象

<改定後の選択要件>

❶再生可能エネルギーの自家消費の拡大措置

  • ❶-1.

    蓄電システム(初期実効容量5kWh以上)

  • ❶-2.

    PVTシステム

  • ❶-3.

    太陽熱利用システム

  • ❶-4.

    再生可能エネルギーの有効活用のため昼間に沸き上げをシフトする機能を有する給湯機※1

  • ❶-5.

    電気自動車の充電設備又は充放電設備※2

❷高度エネルギーマネジメント

  • ※1

    ZEH支援事業においては、本機能を有する電気ヒートポンプ給湯機およびハイブリッド給湯機、又はおひさまエコキュート等が対象

  • ※2

    ZEH支援事業においては、充電用コンセント、コンセントスタンド、V2H充放電設備等が対象

おわりに

今回のZEH+の定義改訂は、住宅の省エネ性能を更に高め、また2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、自家消費を一層促進させるための重要な変更です。

新築住宅の省エネ基準適合義務化がされる中、ZEHにおいては更なる省エネの深掘りや自家消費拡大に向けて、新しい定義に適合したZEH+の普及促進が期待されます。

本ページに記載の内容はあくまでもZEH+の定義に関する内容です。
令和7年度ZEH支援事業における交付要件については、必ず公募情報ページに掲載の公募要領やよくあるご質問をご確認ください。
また、事業内容の概要をまとめたパンフレットも公開しています。建築主への説明等にぜひお役立てください。