ZEH情報 トピックス
戸建・補助金
高度エネルギーマネジメントについて
2026年05月14日
令和8年度の「新築戸建住宅のZEH・ZEH+化等支援事業」では、これまでZEH+の申請にのみ設けられていた選択要件が、ZEHの申請でも必須化されました。
その一つが高度エネルギーマネジメントであり、導入することで補助額が2万円加算されます。
本記事では、高度エネルギーマネジメントの概要や、今なぜ重視されているのかを解説します。
高度エネルギーマネジメントとは 「見える化」から「自動制御」へ
あまり聞きなれない「高度エネルギーマネジメント」とは、何を指すのでしょうか。
資源エネルギー庁の定義によると、「エネルギー計測装置(HEMS)により、太陽光発電設備等の発電量等を把握した上で、住宅内の冷暖房設備、給湯設備等を制御可能であること」とされています。
コラム:HEMSとは?
「ホームエネルギーマネジメントシステム」の略称です。
住宅内のエネルギー使用状況をモニターやスマートフォンに表示することで、空調・給湯といった機器の適切な使用をサポートするものです。
もう少し簡単にご説明します。
「エネルギーマネジメント」とは、住宅内のエネルギー使用状況を把握し、モニター等で「見える化」することを指します。
これに対し、今回の主役である「高度エネルギーマネジメント」は、その一歩先を行く仕組みです。
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エネルギーマネジメント:住宅内のエネルギー使用量を表示し、住む人の「手動」による節電(エアコンの設定変更など)をサポート(図1)
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高度エネルギーマネジメント:HEMSが各機器と「双方向」でやり取りを行い、エネルギー使用を自動で最適化・管理(図2)
(図1)エネルギーマネジメントの例
エアコンのエネルギー使用量を確認し、設定温度を手動で変更する
(図2)高度エネルギーマネジメントの例
計測されたエネルギー使用量に基づき、HEMSがエアコンの温度を自動で変更する
HEMSを設置すると、住宅内のエネルギー使用状況をほぼリアルタイムで見ることができるため、節電への意識が高まりますが、「エアコンの設定温度を調節する」「照明をこまめに消す」といった節電に繋がる行動は、住んでいる人自身で行う必要があります。
そこで高度エネルギーマネジメントを取り入れることで、これまで「人が判断し、人が操作」していたことを、HEMSが自動で行ってくれるようになります。また、各機器をHEMSが個別に操作するだけでなく、機器同士の連携まで担ってくれるため、住宅内の機器を組み合わせて、さらなる省エネ効果を発揮することも可能です。
高度エネルギーマネジメントを導入するメリット
エネルギー使用を自動で最適化
例えば
・各部屋の使用状況に応じて、照明やエアコンのオンオフを自動的に切り替えることで、エネルギーの無駄を防止
・深夜電力ではなく、日中の太陽光発電の余剰電力でエコキュートの沸き上げをすることで、売電量を減少
近年では電気の買取価格(売電価格)が低下しており、住宅内で発電した余剰電気は「売る」より「使う」方が、光熱費を抑える効果が期待できます
※さらに詳しく知りたい方は、トピックス「蓄電システムを活用した暮らしのご紹介」をご覧ください。
2025年度にSIIで実施したアンケート調査の結果からも、高度エネルギーマネジメントを導入している住宅では、住宅内で使用するエネルギーのうち太陽光発電設備等による電力で消費した割合を示す「自家自給率」や、住宅内で創り出したエネルギーのうち、自家で消費する割合を示す「自家消費率」が比較的高いことがわかります。
(2025年度調査発表会資料より抜粋)
暮らしのタイムパフォーマンスと快適性の向上
例えば
・外出先で照明の消し忘れに気付いた時、スマートフォンで遠隔操作してオフにすることが可能
・冬場、帰宅前にエアコンをオンにしておくことで、あらかじめ部屋を暖めておくことが可能
災害時にも活用可能
さらなるメリットとして、「災害時のレジリエンス※強化」が挙げられます。
※災害時等に被害を最小限に抑える適応性や、速やかに回復する復元力のこと
例えば、HEMSと各機器が次のように連携します。
・大雨・台風などの気象警報が発令されると、断水に備えて自動で給湯器の沸き上げを実施(図3)
・地震情報を受け取ると、停電した場合に必要となる電力量を予測し、蓄電池に自動で充電(図4)
(図3)大雨・台風時
(図3)大雨・台風時 (図4)地震情報受信時
(図4)地震情報受信時
このように、無理なく省エネを図りながら災害時への備えもできることは、高度エネルギーマネジメントを導入する大きなメリットです。
※ここでご紹介した機能はあくまで一例です。HEMSと接続可能な機器や制御可能な動作は、製品によって異なります。
また、接続にはインターネット環境が必要な場合がありますので、申請前に必ず製品仕様をご確認ください。
コラム:「AIF認証」をご存知ですか?
高度エネルギーマネジメントを実現する上で重要なのは、HEMSと各機器が単に繋がっているだけでなく、「相互に制御可能であること」です。
実は、住宅にHEMSを設置しただけでは、制度上の「高度エネルギーマネジメント」とはみなされません。HEMSが各機器の状況を把握し、それに対して自動で指示(制御)を出せて初めて、その定義を満たします。この「確実な制御」を可能にするための味方が、「AIF認証」を取得した機器の導入です。
これは、異なるメーカー同士の機器でも正しく繋がることを第三者機関が保証する制度です。
おわりに
高度エネルギーマネジメントとは、住宅のエネルギーを賢く簡単に制御する仕組みのことです。導入することで、人による管理を最小にしながらも省エネ効果を発揮してくれるため、住宅の省エネルギーを推進していく上で欠かせない要素です。
2027年4月からは、新たに「GX ZEH」がスタートします。
GX
ZEHにおいて、高度エネルギーマネジメントの導入は必須要件です※。省エネ住宅の普及が推し進められていく中、住宅は今後、単にエネルギーを消費する場から、エネルギーを創り出し、効率的に活用する場へと変わっていくことが期待されています。高度エネルギーマネジメントもその一翼を担うものとして、標準的な仕様になることが求められています。
※詳細についてはGX ZEH・GX ZEH-M定義<戸建住宅・集合住宅>をご覧ください。
この記事でご紹介した内容は、高度エネルギーマネジメントを簡易に説明した概要です。
補助事業ごとに求める要件は異なるため、令和8年度新築戸建住宅のZEH・ZEH+化等支援事業において申請する際には、必ず公募要領をご確認ください。