令和6年度 ZEH情報 トピックス
戸建・集合・調査発表会・データ分析
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業 調査発表会2024について
2024年12月25日
SIIでは、戸建ZEH、集合ZEH-Mに関する補助事業をはじめとした事業推移や申請状況に加え、ZEHのエネルギー使用状況に関する調査・分析を行っています。この度、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業 調査発表会 2024」として、今年度の調査結果を公表しました。
今回は、その内容を一部紹介します。
【ZEHビルダー/プランナー実績報告】 新築戸建住宅のZEH化率27.6%に上昇
ZEHの普及に取り組むZEHビルダー/プランナーの実績報告によると、2023年度の新築戸建住宅におけるZEHシリーズ供給戸数は97,065戸となり、着工統計にみるZEH化率は27.6%となりました。特に、注文戸建住宅においてはZEH化率が40.2%となり、ハウスメーカー単体では72.0%と高水準になっています。また、一般工務店はハウスメーカーに比べるとまだ低位ですが、前年比7ポイントを超える伸びを見せ、ZEH化率向上に大きく貢献しています。建売戸建住宅においてはZEH化率は7.0%にとどまっていますが、昨年の4.6%に対しては大きな増加が見られ、今後更なる取り組みの加速が期待されます。
なお、ZEHビルダー/プランナーの登録数は、2024年度に新規登録254社を加え、累計5,922社となっています(10月末時点)。
- 2-2.
ZEHビルダー/プランナー(フェーズ2)登録状況(P49~)
- 2-3.
R5年度ZEHビルダー/プランナー(フェーズ2)実績報告の分析(P53~)
<調査発表会資料掲載箇所>
【R6年度交付決定事業 ーZEH支援事業ー】ZEH+ハイグレード仕様が半数以上
SIIで実施する環境省による戸建ZEH補助事業において、令和6年度は5,184件の交付決定を行いました(10月末時点)。中でも特筆すべきは、今年度から新たに導入したハイグレード仕様が、全体の58%を占めたことです。要因の一つとして補助金額の加算が考えられますが、断熱性能の強化、エネルギー削減の深掘りがさらに進んでいる傾向が見て取れます。
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ハイグレード仕様については、「ZEH+ハイグレード仕様と、断熱等性能等級について」をご覧ください。
蓄電システム導入件数も伸びています。全体の導入率は初めて5割を超えました。蓄電容量の平均値も過去最大となり、エネルギー価格の高騰や売電価格(電力買取価格)の下落を受け、太陽光発電システムで創った電気を自家消費するニーズが高まっていると考えられます。
<調査発表会資料掲載箇所>
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R6年度 交付決定事業の傾向分析 ーZEH支援事業ー(P73~)
【アンケート調査による実績報告分析】71%が実績値でもZEH達成
ZEHは基準値に対する設計値での評価となるため、実際にネット・ゼロ・エネルギーを達成できるかは住まい方やエネルギーの使用状況によって変わってきます。そこで、ZEH入居者のアンケートに基づくエネルギー消費量と創エネルギー量においてZEHの達成状況を分析すると、実績値でも71%がZEHを達成していました。
太陽光発電で創った電気の自家消費拡大の傾向は、実績データにおいても見られます。自家消費量は月平均で昨年度の192kWhから210kWhに拡大しました(一戸あたりの平均値)。
一方で、搭載している太陽光発電システムの発電容量が大きいほど自家消費率が低くなってしまう傾向があります。そのため、住宅で使用する電力のうち、どの程度を太陽光発電で賄うことができているかの割合を「自家自給率」と定義し、ZEHの仕様や地域等によって自家自給率に差異が生じるのかを分析しました。
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自家消費量=太陽光発電量 ー 売電量
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自家自給率=自家消費量 ÷ 総電力使用量 x 100
蓄電システムの導入有無で比較すると、蓄電システムを導入しているグループの方が、自家自給率が9.5ポイント高くなっており、蓄電システムの自家消費拡大に対する貢献がわかります。また、太陽光発電設備容量が大きいほど自家自給率は増加します。他にも、住宅の外皮性能が高いほど自家自給率が高くなる傾向も見て取れます。
<調査発表会資料掲載箇所>
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戸建ZEH事業者アンケート調査による実績報告分析(P98~)
【ZEHデベロッパー実績報告】低層ZEH-Mが増加
集合住宅のZEH-Mに取り組むZEHデベロッパーが2023年度に取り組んだZEH-Mの竣工実績や建築計画によると、全体23,854棟のうち半数を超える13,766棟がZEH-Mシリーズの実績・計画となりました。なかでも住宅部階数が1~3層の低層ZEH-Mでは、昨年度の7,120棟に対して12,509棟に増加しており、低層におけるZEH-Mシリーズの普及を見ることができます。
一方で、低層における目指すべき水準であるNearly ZEH-M以上の割合の増加、また中層以上の建物規模におけるZEH-Mシリーズの普及には、今後一層の取り組み拡大が期待されます。
なお、ZEHデベロッパーの登録状況は、昨年度末の225社から25社増加し、累計250社となっています(11/1時点)。
<調査発表会資料掲載箇所>
- 4-3.
ZEHデベロッパー登録状況(P151~)
住宅における省エネルギー政策や動向、事業者の事例紹介も
調査発表会資料においては、巻頭に主催者挨拶及び趣旨説明として、経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課による「2050年のカーボンニュートラルに向けた住宅における省エネルギー政策について」と題した政府の取り組みとZEHを取り巻く状況と政策の今後の方向性が紹介されています。また、国土交通省 住宅局 参事官(建築企画担当)付による「住宅・建築物の省エネルギー対策を巡る動向」として、省エネ基準適合義務の拡大や省エネラベル等、住宅・建築物に関連する政策や制度等が幅広く紹介されています。
その他、特別講演として、事業者によるZEH、ZEH-Mの先進的な取組事例も紹介されています。
<調査発表会資料掲載箇所>
- 1-1.
主催者挨拶及び趣旨説明(P5~)
- 1-2.
住宅・建築物の省エネルギー対策を巡る動向(P21~)
- 5-1.
ZEHにおける自家消費の拡大に向けた取り組み(P205~)
- 5-2.
HEBEL HAUSの賃貸住宅 ヘーベルメゾンでもZEH-M推進(P216 ~)
調査発表会資料は「調査発表会2024」に掲載しております。
ぜひ、調査発表会資料を参考にしていただき、今後のZEH普及にお役立てください。